2017/04/06

このチャイコフスキーを聴け!

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●チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35
ヴァイオリン:チョン・キョン・ファ
指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(1973年5月111日、ベルリンフィルハーモニーザールでのライブ録音)

カルロ・マリア・ジュリーニというイタリア人の指揮者。
昔はローマのサンタ・チェチーリア管弦楽団のヴィオラ奏者で、その当時名声を博したブルーノ・ワルターやウィルヘルム・フルトヴェングラーの指揮でヴィオラを弾いたという回想を、かつて読んだ覚えがある。
ジュリーニの演奏との出会いは、同じイタリア人ピアニストのアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリと共にドイツ・グラモフォンから発売されたベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を80年代に聴いたのが最初だと思う。
中でもベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番に感銘を受けたのだが、そこではジュリーニがウィーン交響楽団の音楽監督を務めていたことから、ウィーン・フィルではなく、同交響楽団を使っての録音だった。そんなことは微塵も感じさせないほどに素晴らしい演奏で、当時はピアノにしか興味がなかった私は、この指揮者の名前を覚えるようになった。

今日お話したいのはジュリーニの話ではないのだが、協奏曲の話、しかもジュリーニが振るとなると、なぜかこのベートーヴェンを思い出すのだ。晩年のホロヴィッツもジュリーニに指揮を任せて、モーツァルトのピアノ協奏曲をミラノ・スカラ座管弦楽団と録音していることから、やはりジュリーニという指揮者、協奏曲でも手を抜かず、本気で音楽をする姿勢を、優れた音楽家たちが見抜いていたのだろう。
今日ここでご紹介するチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲も
見事な音楽づくりである。

ヴァイオリニストのチョン・キョン・ファは、言わずと知れた韓国生まれの名ヴァイオリニスト。長い期間沈黙を守っていたが、ここ数年またロンドンでリサイタルを始めている。その時のエピソードをちょうどロンドン滞在中に読んだが、何と聴衆の出す音(子供の声)がうるさいということで、演奏を止めて注意したとかしないとか。そのことについて、英国内で賛否両論、物議を醸した演奏会だったようだ。

そんなことはさておき、このチャイコフスキー、見事である。ジュリーニがベルリンに客演した1973年5月のライブ録音だが、まさに聴き手が音楽の中にどっぷりと浸ることのできる演奏だ。チャイコフスキーの音楽の見事さを堪能できる素晴らしい演奏として、私の知る限り最高度の名演である。

ここに繰り広げられるヴァイオリンの美しい音質は、ただの一度も聴く者を驚かせたり邪魔したりしない。ビロードのように美しい音が煌めいて、私の心を話さなかった。ヴァイオリンはチェロなどと違い、音質が固く、また高いために聴く者の神経を逆なでする場合もあるのだが、そういったヴァイオリンから生まれる短所の全く感じられない演奏、力のこもった音だが、常に抱擁されているような音色というのは、若い頃のアンネ・ゾフィー・ムッターやジョシュア・ベルくらいのものではないだろうか。

ここで演奏されているドヴォルザークの交響曲第7番は名曲中の名曲だが、第8番「イギリス」や第9番「新世界」のようなタイトルがないだけに、あまり知られていないが、ジュリーニが最も得意とするレパートリーの一つであり、アムステルダムのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団との名演奏がCBSソニーから発売されていて、そちらをお勧めしたい。

今日はこれまで。

追伸:このCD,アマゾンでも購入可能だ。Giulini,Chungと入れればすぐに出てくるはず。

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